さて、前回記事までで、デジタル暗室が構築できました。
今回は、構築後気を付けておきたい事を以下に記します。
まず、1点目ですが、ディスプレイの色温度設定をDTP向け(プリント向け、5000K)に設定しているのか、それともWEB用途(6500K近辺)に設定しているのかをきちんと把握したうえで、それぞれの発色の違いを感覚的に掴んでおきましょう。
よくある落とし穴ですが、例えばプリント向けの環境(色温度:5000K)でとても素晴らしいレタッチをしてプリントが出来たとします。これをSNSでも展開したいとします。SNSの場合多くの場合鑑賞者のPCの色温度は、6500K付近です。このため、当然ですがプリント前提にレタッチした写真と色合いの齟齬が生まれます。
一般的にはプリント向けにレタッチした写真は、6500Kのディスプレイ上では彩度が落ち、色もくすんだ印象になることが多いです。このため、自分がプリント前提で作品をレタッチするのか、WEB用途でレタッチするのか、これを意識しておく必要があります。
例えば、上に関して、いちいち写真の色味を異なったディスプレイ環境で見るのは面倒臭いという方は、モニターのキャリブレーション時に白色点を5500Kに設定する方は割と多いのではないでしょうか。ただ、これは厳密には抜本的な解決策になっていません。
では、どうすれば良いか。ですが、異なった色温度のプロファイルを複数用意し、発色、コントラスト等を確認するのが一番確実です。これにより、例えばプリント前提の青空のブルーの作り方と、WEB用途での青色の作り方は少し違う等、もっとレタッチに関してセンシティブになれるというメリットがあります。
特にインスタグラムで写真を発表する機会が多いユーザーは、iPhoneをはじめとしたスマートフォンのディスプレイの標準的な白色点を測定して、それに合わすという手があります。また、投稿する際にPCからではなく、スマートフォンから投稿するようにしておけば、投稿の際に、編集機能で明暗とコントラストを微調整できるので、お勧めです。
次回以降は、レタッチに関して、著者の仕事の経験上習得すべきスキル等をご紹介できればと思っています。久々の更新となりましたが、最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。