今回から、レタッチする際の土台となるカラーマネジメントに関する事項を、主にアマチュアの方向けに記事にしていきます。カラーマネジメントの重要性及び、既に基本的な知識をお持ちの方は読み飛ばしていただいて大丈夫です。
導入編ということでまずはディスプレイから解説していきます。デジタルカメラの性質上、避けて通れないのがディスプレイの設定及び、目的別にキャリブレーション(平均ΔE(色差)15以内程度)できることです。ディスプレイのキャリブレーションツールとして最も汎用的なのはX-Rite社の i1Display Proでしょう。
筆者もキャリブレーションの際に本製品を使用しておりますが、特徴を以下にまとめます。
1.汎用性が高い
→ほぼすべてのディスプレイを測定できる
(CCFL, LED, プロジェクタ等)
→対応OS(windows, Mac)
2.精度の高い色測定
→デフォルトの測定用パッチセットが最大462
→ディスプレイの設定項目が豊富
→環境光の測定機能
3.ディスプレイの品質検証機能
→トレンド記録として、測定値に対しての平均色差等を記録できる
→色差からディスプレイの劣化具合を探ることができる
ざっと上げて上の3つです。例えばノートパソコンと別途現像用のディスプレイモニタ環境の方、マルチモニター、トリプルモニターと扱うディスプレイが増えている場合でも、個別にICCプロファイルを作成し、一括管理することができる(モニタの色再現性は各ディスプレイの能力による)のでアマチュアの方でも非常に扱いやすいという点が挙げられます。
余談ですが、予算がある方であれば、EIZOのColorEdgeシリーズのディスプレイを購入しハードウェアキャリブレーションを実施することで、ほとんど完璧な色表現と階調表現を得ることができるでしょう。価格が非常に高いのが難点ですが、いわゆるクリエーターとして業界で仕事をする場合、またはハイアマチュアの方で厳密に色管理されたい方は必然的にディスプレイにお金をかけることになります。
今回はアマチュアの方で既に今もっているディスプレイを活用。カラーマネジメントの導入として基本となるディスプレイのキャリブレーション及び、そのためのツールとしてi1Display Proをご紹介しました。次回以降、カラーマネジメントに関連した記事をしばらく書こうと思っております。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。